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塩の種類と特徴 塩の種類と特徴
製法と原料による塩の分類

「あらしお」の話
(2010記載)


「フレーク塩」の話
(2010記載)


「焼塩」の話
(2010記載)


「藻塩」の話

「自然塩」の話
(2010記載)


「ミネラル塩」の話
(2010記載)


「化学塩」の話
(2010記載)


市販の塩の種類

「あらしお」の話
(旧原稿)


自然塩の話
(旧原稿)


岩塩の話

天日塩の話

生活用塩とは

深層海水塩

塩の添加物
岩塩の話
岩塩についての問い合わせが多いので、岩塩に関する一般的な質問をベースにしてまとめてみました。
注意:溶解採鉱の岩塩は、岩塩の性質がなくなった精製塩です。

この項で説明する岩塩は、採掘した岩塩です。Q3種類の項で書いた溶解採鉱の岩塩(釜焚きの岩塩)は特に記載してない限りこの説明には含まれません。溶解採鉱をした塩は岩塩としての性質を全く失っており、通常の立釜の塩に変わっており、精製塩と同じ特徴をもつ塩になっています。塩の性質として精製塩と同じです。最初の原料が岩塩だったというだけで、岩塩とは全く異なるものです。塩の表示で乾式採鉱の塩(採掘岩塩、ホントの岩塩)も溶解採鉱(釜焚きの岩塩)も同じように岩塩と表示しているものが多いので買う時には注意が必要です。表に岩塩と書いてあっても岩塩でないものがあります。裏面の製法表示に採掘と書いてあるもの(ゴロゴロの塩)がホントの岩塩、溶解と書いてある(サラサラの塩)は精製塩です。
Q1【ミネラル】
通常の塩に比べて、岩塩はミネラル分が豊富だということですが実際にどの位の差がありますか? 例えば海水塩に比べてミネラル○倍!というように言えますか。
A1
通常、塩のミネラル分という場合はマグネシウムをさす場合が多く、またにがり分(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウムの合計量)をいう場合もあります。岩塩にマグネシウム塩が入る例は極めて稀でほとんどないといってよいでしょう。マグネシウムは海塩だけに入っています。にがりをどの程度分離するかでその含有量が変わります。ボリビアのピンクの塩は鉄分が多いとされます。一般に赤い塩は鉄分による赤色です。しかしその鉄分は赤鉄鉱の赤色で赤粘土と同じような成分ですから体の中で溶けてミネラルとして吸収することはできません。岩塩には多量の鉱物を含むものがありますが、それは食用には販売されていません。食用とする岩塩ではミネラルはほとんどないといってよいでしょう。

岩塩と海塩の分析例(ドライベース%)
  岩塩(イタリア) 岩塩(ボリビア) 天日塩(メキシコ) 能登の塩 食塩
水分 0.02 0.22 2.26 7.56 0.15
不溶解分 0.01 0.16 0.04 0.01 0
NaCl 99.8 98.7 99.6 97.4 99.7
CaSO4 0.14 0.67 0.20 0.99 0.03
MgCl2 0 0 0.05 0.73 0.07
MgSO4 0 0 0.03 0.52 0
CaCl2 0 0 0 0 0.04
KCl 0 0.08 0.04 0.16 0.11
Na2SO4 0 0.06 0 0 0
にがり分 0 0.08 0.12 1.41 0.22
Fe(ppm) 3.5 40   7.9 0
文献:「市販食用塩データブック」および「塩あれこれ」より
Q2【栄養素】
海水塩には含まれていなくて岩塩には含まれる栄養素はありますか。
A2
岩塩が生成される数億年の間に海水の成分は分離されて各塩類が積み重なった形で地下にあります。この段階で精製されているのです。特殊な条件で他の塩類が微量に入ってきたり、周辺の鉱石が混入することがありますが、栄養素として価値のあるものが混入してきたという事例は未だ見つかっていません。
Q3【種類】
岩塩にはどんな種類がありますか。それはどこの国で産出するものですか。
A3
産出状態、色、などによって分けられるかもしれません。塩化ナトリウム99%のものから20%位しかないものまで様々です。産出状態のほぼ地表にあるもの、深い地層に堆積して隠れているもの、地殻変動で岩塩層が柱状に突出しているもの(岩塩ドーム)、などがあります。しかし、日本に輸入されて販売されている食用にする岩塩については、採鉱の仕方による分類が一番大きな違いになります。
乾式採鉱の岩塩(ほんとの岩塩)
岩塩を掘り出したもの。これがほんとの岩塩です。食用に使うのは特殊な場合が多い。大きな粒で販売されているものが多い。着色しているのは乾式採鉱の岩塩。透明のものもある。溶けにくいことが最大の特徴で、そのため煮炊きには使いにくいが、振り塩などでは特徴が生きることがある。直接舐めると塩味を薄く感じることになる。色の付いたものでは種々の鉱物(石ころ)を混入しています。鉱物は通常消化しないのでミネラル補給の意味はありません。
溶解採鉱の岩塩(釜炊きの岩塩)
岩塩層に水を注入して得た濃い塩水を釜で炊いた塩。見かけも成分も精製塩に近く、元々の原料は岩塩だが、岩塩としての特徴はなくなっており消費者に誤解を招く場合がある。調理用の一般用塩として欧米の食用塩は溶解採鉱の塩が広く使われている。
Q4【岩塩の起源】
岩塩は海が蒸発してできたものですか。
A4
岩塩は古いものは5億年前、新しいものは200万年前くらいにできたものです。通説としては海水がせき止められて蒸発したものといわれています(オクセニウスの理論)が、化石がない、マグネシウムがない、岩塩層の厚さが数百mにもなることは海洋の深さから考えられない等のために海水起源ではないという反論もあります。
Q5【海の塩との違い】
海水塩と岩塩の違いは何ですか。
A5
すでに上に説明していますが岩塩の特徴が出ている代表、乾式採鉱の岩塩(ほんとの岩塩)と海水塩の特徴が出ている代表、立釜塩(食塩)や平釜塩(能登の揚浜塩田の塩)を比較してまとめてみます。
  岩塩 立釜(食塩) 平釜(能登の塩)
溶け易さ 溶けにくい 溶けやすい 更に溶けやすい
硬さ 硬い 軟らかい 更に軟らかい
にがり分 ない 少し 食塩より多い
砂などの異物混入 多い ない ほとんどない
Q6【使うときの注意】
岩塩を料理に使うとき煮に注意することは何か
A6
岩塩は溶けにくいので使い方に注意が必要です。いくつか気づいたことを上げてみます。
煮物、炒め物など溶けてしまう料理では溶け方が遅く、塩のまわりが悪いので味見をしたときに塩が少ないと錯覚してしまい、塩を追加すると次第に溶けてきて辛くなってしまいます。
魚の振り塩などでは身が締まらないことになりがちです。塩もみには溶け方が遅く向きません。
漬物では溶けるのが遅いため水の上がりが遅く、腐ったりカビになったりする心配があります。よく溶けたことを確認する必要があります。岩塩は漬物には使いにくいものです。
ステーキ、焼き肉などでは表面の肉の締まりが悪く柔らかい感じになり肉の旨味が逃げますが、焼き上がりに塩が粒で残るのでかりっとした塩の旨味が生きます。精製塩系の方が表面の肉の締まりがよく旨味が逃げないという方もいます。どちらがよいかは好みです。
サラダ、テーブルでの生野菜などでは付着性が悪く素材とのなじみが悪くなりますし底に沈んでしまうため使いずらいのですが、塩粒の味を残した効果を狙うときは有効です。
Q7【産地】
岩塩はどこにあるのですか。日本には岩塩はありませんか。
A7
世界中に岩塩がありますが、日本では岩塩はありません。有名な岩塩鉱床としてはヨーロッパ全域、アメリカ東部、中部、南部、中国のほぼ全域で深い鉱床がある、ウクライナ、パキスタン、イラン、チリ等があるが、その他多くのところで岩塩鉱床は見つかっています。埋蔵量は無限に近い量がある。世界の塩の消費の2/3は岩塩を原料としている。しかし一般に岩塩の産地は海岸から遠く、船輸送ができないため、日本に輸送するには不便である。岩塩はチリのように表面に露出して掘っているところ、地下に坑道を掘って採掘しているところ、地上から水を押し込んで塩分を溶かして濃い塩水を汲み出しているところ(溶解採鉱の岩塩)、などがあります。
 
Q8【岩塩の色と不純物】
色の付いた岩塩が売られていますが体に悪いものは入っていませんか
A8
統計はありませんが、私の少ない経験から、岩塩の色は、赤が最も多く、次に黒、白、透明、となり、青、緑、黄は少ないようです。岩塩は種々の鉱物と一緒に出てきます。純度も様々です。一般的に赤系は酸化鉄、黒は粘土や黒砂、白は石灰石、石こう、気泡などが多いようですが、色の成分をきちんと分析したデータは少ないので正確には分かりません。私の経験からは、東欧でクロムやマンガンをかなり含んだ黒色岩塩、パキスタンで硫黄や鉄を含む深紅色の塩など変わったものもあります。数億年かけて析出しており、不純物としての鉱物はほとんど水に溶けず、食べてもおなかの中を素通りするので毒や栄養にはならないと考えています。しかし砂など異物が多いし、衛生的環境で作られているものではありませんから、食品衛生法上は問題があります。輸入時に衛生上の検査や規格はありません。食用には自己責任で食べていただくということでしょう。個人的意見としては、岩塩を使ってみたい人は透明な岩塩が安心して使えると考えています。
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