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 ダール博士が民族の塩摂取量と平均血圧とに明確な正比例の関係があるという疫学調査の論文にアメリカ食品医薬品局が反応して塩制限による高血圧防止の効果があると主張してから世界中が減塩と高血圧が直結するような議論となり、日本の厚労省も減塩推進を主張して現在に至っている。ダール博士(1960)の最初の疫学調査の論文には基本的な間違いがあったといわれるが、塩と高血圧の関係が重要であることを提起した重要な研究であったことは間違いない。

表7-1
ダールによる食塩摂取量と高血圧症発生頻度の関係(1960)
ダールによる食塩摂取量と高血圧症発生頻度の関係(1960)
 その後、塩と高血圧に関する膨大な研究が蓄積されてきた。著者が注目しているのは、
・人(動物)には塩分感受性(塩を食べると血圧が上がる)の人と、塩分非感受性(塩を食べても血圧が上がらない)人がいる。

・塩を食べない人種が世界(非文明社会)にはいるが、それらの人には高血圧症がない。しかし寿命は短い。日本のように塩をたくさん食べる人種は高血圧傾向の人は多いが長寿である。

・多くの減塩の実験成果を見ると血圧低減効果は平均数mmにすぎず、血圧が上がる人も多数いて、減塩による血圧低下の効果は極めて限定される。

・1980年代に行われた世界的な規模での高血圧の塩分の関係を疫学調査する研究でも、高血圧と塩分は明確な結論が得られず医学界の論争となり明確な結論を得られないほどあいまいなものだった。健康人に対し減塩が健康や寿命に影響するという確かな証拠はないようだ。

減塩の効果

これらのことを総合して考えれば、食には常に「ほどほど」に摂ることが要求されるのであり、バランスがよい、好き嫌いなくなんでも食べる、楽しくおいしい食事、が大切なのであり、塩に対する心掛けは高血圧患者のための食事の注意として心得ておけばよいことではないか。あまりに神経質になることは無益のことではないだろうか。 高血圧症でなければ塩を摂ることに、あまりに神経質になることは無益のことではないだろうか。

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