3-1) |
濃縮 |
|
・
|
イオン膜:食用塩の80%がイオン膜で濃縮している。生産性が高く大規模生産。海水汚染の影響が少ない。安全管理体制が整備されている。硫酸塩がほとんどない。色はほぼ無色である。イオン膜を使うことによる味への影響はほとんどない。 |
|
・ |
逆浸透膜:海水淡水化の副産物として得られるものと塩用に小規模の海水濃縮装置として使う場合がある。天日濃縮と組成はほとんど変わらない。 |
|
・ |
天日:国内で行われるのはネット式、枝条架など液滴蒸発による小規模濃縮。昭和36年まで使われた入浜塩田および昭和27年から昭和47年まで使われた流下式塩田はいずれも展示用の復元塩田として残るだけである。天日濃縮の場合多くは黄色に着色している。着色の原因は粘土、各種植物のフミン酸、フルボ酸、植物色素などといわれている。
塩にした場合、濃縮方法(イオン膜、天日など)による製品特性(味、物性など)はほとんど差がない。 |
3-2) |
結晶化 |
|
・ |
天日(天日塩田):外国の天日塩田で海水を蒸発濃縮して結晶させる。砂漠の塩田(メキシコ、オーストラリア)では1〜2年かけて塩を作る。硬く大きな結晶で、これを粉砕して使う。調理上は素材とのなじみがやや悪いので使いにくい。乾季作業の塩田(ベトナム、中国)半年で塩を作る。砂漠の製塩に比較して結晶が小さく柔らかである。砂や泥が入りやすい。食用として販売する際は、使いやすい大きさに粉砕して洗浄する。溶解して再度釜で煮詰めて結晶させる。などの方法できれいにし、使いやすいように調整する操作が行われる場合が多い。日本国内でごく少量天日塩が作られている。通常はビニールハウス内などで結晶盤を置いて蒸発させて作られている。 |
|
・ |
平釜:大気圧の釜で製造する。小規模生産に使う。結晶が小さく柔らかで調理では溶けやすく素材とのなじみがよい。結晶の形が小さいサイコロ状の結晶が凝集したもの(凝集晶)あるいはやや大きなピラミッド型の薄片結晶(フレーク塩、トレミー)となる。 |
|
・ |
立釜:真空式で大きな釜で大規模生産する標準塩。日本の食用塩の大部分が作られる。煮詰め釜として世界の標準形式である。サイコロ型の結晶で通常0.3〜0.4mmの結晶ができるが、育晶用の釜があれば1mm以上の結晶もできる。日本の食用塩の半分以上を占める塩事業センターの「食塩」はこの方式の釜で作られる。 |
|
・ |
噴霧乾燥および加熱ドラム:海水を小液滴として全部塩にする。微粉で使いにくいがにがり分が多く独特の味がある。 |
|
・ |
採掘:岩塩を掘り出したもの。適当に粉砕してあり、ミルなどで使う。溶けにくく、一般的調理には使いにくいが、溶け難さを生かした料理で特異な使い方で生かされる。 |
3-3) |
加工 |
|
・ |
乾燥:塩を加熱して乾燥する。さらさらになり分散性がよい。振り塩に都合がよい。 |
|
・ |
粉砕:天日塩、岩塩など大きな塩を砕いて使いやすくする。 |
|
・ |
焼成:焼いて固まりにくくする。味も少し変わる。高温で焼いた場合は溶かした時に少し濁ることがある。低温で焼いた場合は結晶が崩れていない。高温では結晶内の気体の泡や液体の泡が破裂して粒が小さくなる。 |
|
・ |
混合:2種類の塩を混ぜたり、添加物を混ぜたりする操作、混合物によって塩の特徴が変る。混合物としては、にがり、塩化カリウム、鉄塩、固結防止用炭酸マグネシウム、各種食品香辛料(食用塩公正競争規約対象外)などがある。
|
|
・ |
洗浄:天日塩、岩塩などで塩が汚れている時に洗う。 |
|
・ |
造粒:顆粒状やタブレットなど粒の形を変えて使いやすくする。例えば、微粉の塩を顆粒状に固めて調理用などに使いやすくする。舐められるように大きくした錠剤にして汗をかく労働や運動をするときの塩分補給用に使う。 |