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塩味の常識
(2010記載)


塩のソムリエに
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高価な塩が
よい塩ではない

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塩学入門


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漬物に使う塩

駐車場の凍結防止
  高価な塩がよい塩ではない
 塩を買う時にまず見るのは価格と包装。一番安い塩はちょっと不安。あまり高い塩を買っても料理の腕もないから中くらいにするか。そのような選び方はよくあるパターン。塩は見たところその特徴はほとんどわからない。ちょっと舐めてもそれほど味は変わらない。だけど値段は安い塩と高い塩では数10倍の差がある。どうしてこんなに値段が違うの?やはり品質や安全性で差があるのかな?という疑問にポイントだけ答えておこう。
 塩の値段は第1に製造や輸送や販売の規模の大きさ、第2に販売費すなわち小売店のマージンや広告費、第3包装、にということになる。塩事業センターの食塩は海水から作って年産20万トン規模の工場で作られて1kg107円だが、同じ海水から作っても年産100トンの規模で作られる平釜塩ポリ袋は200g500円(kg2500円)する。メキシコ天日塩は10万トン規模の船で運ばれてくるから25kg紙袋で1400円(kg56円)、珍しさを追う商品では20トンコンテナで運んでkgポリ袋1kg800円で販売されていた。第2の販売費の中の小売店マージンは買い手市場の塩マーケットではメーカー間の競争が激しく、詳細は分からないが、販売価格の数10%が小売マージンのところもあるようだ。東京都心部では高価な塩が大部分で小売マージンの少ない塩事業センターの食塩は店頭にない食品店も多い。このように塩の価格は品質とは関係ないところで決まってくるから、価格が高い塩が品質がよい塩にはならない。むしろ大規模生産の塩は品質管理がよいため、品質のバラツキがなく、安全管理も優れているので、よい品質が保証されているともいえる状態にある。
 著者の蛇足:買物というのは内容より心情の方が大きいという要素がある。高価な塩は一寸したぜいたく感がある。せいぜい1千円位の支出である。これで一月も二月も一寸したぜいたく感を味わえるものはあまりない。肉でも魚でも一日で終わりだ。塩はあまり大きな差がある商品ではないから、高価なものを買ってもくせが強くて変な味ということは少ない。塩くらい高価なものを買うというのも悪くないと思うが。

  魔法の塩はない
 塩味は塩加減ができれば素人としてほとんど合格。使い方がまともならそれでセミプロ級だ。塩選びはそれができてからの話で、塩選びで変わる範囲はほんのわずかだ。それもおいしい料理を少しだけよりおいしくしてくれるもので、まずい料理をおいしくするものではない。1に塩加減、5に塩使い、10に塩選びなのである。
 塩加減ができれば素人としてはまず美味しい料理になる。塩濃度の許される範囲は狭いから、そこに濃度を合わせられたらまず合格といえる。使い方になると相当難しくなる。例えば、塩の使い方はまず振り塩と立て塩だ。塩振り3年ということもある。まず素人の場合、「にがり」が多いべたついた塩をそのまま魚の振り塩に使うというような無茶をする。塩の使い方にこだわらないならよいが、鍋で乾煎りしてからでないとまともに塩を振ることなどできない。そんなことをするくらいなら乾いたサラサラの塩を使えばよい。食卓塩で振った方がよほど上手に振れる。いったい何分前に塩を振るかはもっと大切なことになる。魚の種類に合わせる。客に合わせる。塩が魚の表面をきれいに飾るような振り方にする。均一に振るなどの心使いがいる。塩の種類を選ぶのはそんなことができてから考えることだろうが、塩使いは塩振り3年というほどだから、大変微妙で難しい。それは料理人に話は任せよう。
 塩はそれ自体を食べることはありません。塩自体のおいしさはその相手と使い場所によって変わります。いつも主役のそばに控えている名脇役は、それ自体のうまさを見ることはできません。脇役は芝居次第で変わり、相手役によって変わっていきます。塩を使う場と素材によって変わるのです。しかも、おいしさには強い主観があり、思い込みだとか、今までの味の経験からくる個人差があります。人はみな過去の経験から、慣れ親しんだ味を良いと感じ、過去に良い経験のある味が良いと感じるように出来ています。「おいしい」の感覚はかなりの部分で共通しますが、微妙なところは人それぞれです。塩の種類による差は大筋の違いではなく微妙な差にしかなりませんから、どんな料理もおいしくなる魔法の塩は存在しようがないのです。
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