食用塩公正競争規約
業界原案
食用塩の公正競争規約
に関する表示連絡会
説明用資料
食用塩公正取引協議会
準備会案内
食用塩の公正競争規約に関する表示連絡会説明用資料
平成19年11月22日(木)
食用塩公正取引協議会準備会
1.食用塩の公正競争規約作成の経緯
ご承知のとおり、塩は、長く専売制度の下に、廉価で良質な食用塩を皆様の食卓に届けてまいりました。しかしながら、規制緩和の流れに乗り、平成9年4月にこの専売制度が廃止され、激変緩和措置として採られた輸入規制、参入規制等も平成14年4月までに終了し、今日、様々な種類の塩が販売されています。
他方、規制緩和に伴い、塩事業に参入する事業者が増加する状況で、平
成16年7月には、不当表示により公正取引委員会から警告を受けるなど、表示上問題のある製品も見られます。そこで、食用塩の表示の適正化を図り、適切な情報を提供することにより、消費者の適正な塩製品の選択に資することを目的として、平成18年4月には塩製造業者等約70社が参加する食用塩公正取引協議会準備会が発足し、公正競争規約案について検討を行ってまいりましたが、今般、その原案を取りまとめました。
【参考】
○食用塩公正取引協議会準備会
食用塩公正取引協議会設立及び食用塩公正競争規約作成を目的として、食用塩の製造、加工、卸販売、輸入の各分野から計75社が参加して活動する組織。規約認定後は業界全体に呼びかけ食用塩公正取引協議会に移行する。食用塩公正取引協議会は、食用塩の表示の適正化を図り、消費者に適切な情報を提供することにより、消費者の誤認をなくし、適正な商品選択に資することを目的として活動する。
○規約制定の経緯
平成 9年 4月
塩専売制が廃止、国内生産加工、輸入、卸販売など食用塩関係の参入企業の急増
平成15年2月
東京都の指導「食塩に関する表示の徹底について」により表示の適正化が求められる
平成15年10月
業界有志9社により「家庭用塩表示検討懇談会」が発足
平成16年7月
不適正な表示の是正について公正取引委員会の警告及び指導「家庭塩の表示について」
平成16年9月
東京都が食塩表示適正化連絡会を組織して「食塩の表示に関する業界自主基準策定に向けた指針」を公表
平成18年4月
業界では、食用塩公正取引協議会準備会を発足させて、表示適正化に向けて意見を集約
2.表示の実態
食用塩の表示の問題点としては、用語の定義や使用基準が曖昧なため、以下の点について消費者にとって分かりにくいと言われていた。
(1)
製造方法の記載が思わせぶりで、品質が優れていると誤認されるものがある。
(2)
ミネラルが多いという表現が、体によい、味がよいなど過剰に優位性を示すものがある。また、ミネラル成分が少ないにもかかわらずミネラルを含む表示がある。
(3)
無意味な無添加表示がある。
(4)
海洋深層水使用による品質の差がないにもかかわらず、品質がよい、体によいという誤認を招く表示がある。
(5)
産地名を強調して、品質に差がないにもかかわらず品質が優れていると誤認させる表示がある。
(6)
根拠のない天然塩、自然塩の表示によって、品質等が優れていると誤認させる表示がある。
【参考】
東京都の「食塩の表示に関する業界自主基準策定に向けた指針」では、次のような表示指針を勧告している(平成16年9月)
(1)
「自然」「天然」の表示は使用しないこと
(2)
ミネラルによる品質等の優良性を表示しないこと
(3)
「最高」「究極」などの最上級を示す表示は客観的根拠がなければ使用しないこと
(4)
無意味な無添加表示はしないこと
(5)
一括表記枠外に原材料、製法を表記すること
3.規約制定の目的
一般消費者の適正な商品選択を助け、不当な顧客誘引を防止することにあります。具体的内容は従来、消費者から指摘された誤認の原因となる表現があるのでその是正を図りました。基本方針は、以下のとおりです。
○
「優良誤認が生じない表示に」、「おもわせぶり表示から合理的な根拠に基づく表示に」、「原料や製法など消費者が求めている情報をガラス張りに」
をモットーとして、消費者の適正な商品選択に資する。
○ 塩業の長い歴史から
特殊な用語
があること、多数の企業が急激に参入したことによる
使用基準が曖昧な表示
があることから生じた表示・用語の混乱をなくすために、主に以下のルールを定め消費者の理解を助け誤認を防止する。
(1)
食用塩の大きな特性を示す原材料と製造工程についての情報提供を行う
(2)
特定事項・特定用語の使用基準を設定する
(3)
不当表示として規制すべき事項を定める
4.食用塩の製法
食用塩は、その白くてさらさらした外見からは、なかなか商品毎の違いが判別ができませんが、製法と原料によって、品質、風味が大きく異なるものです。食用塩の製造は、基本的には次の3つの工程により行われます。
濃縮(採かん)工程
→
結晶工程
→
その他工程
海水を濃縮させたり、原料となる塩を水で溶かすことにより、濃い塩水(かん水)を作る
かん水の余分な水分を釜などで煮詰めて蒸発させ、塩の結晶化を行う
仕上げ工程に当たる、乾燥、焼成など
なお、岩塩のように、はじめから結晶化している塩を原材料とする場合や、天日塩のように濃縮工程と結晶工程が同時に行われるものもあります。
前記の3つの工程には様々な手法があり、次にその代表的な例を紹介します。これには様々なバリエーションがあります。また、塩ができた後、乾燥、焼成、添加物混合などの加工を行う製品もあります。
(1)海水を濃縮したかん水を釜で煮つめる(日本国内で行われている方法)
(濃縮工程)
(結晶工程)
(その他)
1
イオン膜で塩分を透過させて濃縮する
→
立釜で煮つめて塩を結晶化させる
→
結晶した塩の水分を蒸発させて乾燥させる
2
枝条架、ネットなどを用いて蒸発濃縮する
→
平釜で煮つめて塩を結晶化させる
(2)天日塩、岩塩、湖塩などを掘り出す方法(主として外国で行われる方法)
天日塩田、岩塩鉱や塩湖から掘り出す
→
粉砕選別する
(3)天日塩や岩塩を一旦溶解した塩水を煮つめて塩を作る(二次加工品)
輸入した天日塩等を海水などで溶解する
→
平釜や立釜で煮つめて塩を再度結晶化させる
(4)塩を原料として、添加物の混合、焼成などの加工を行う(二次加工品)
(1)や(2)により製造した塩を購入して原料とする
→
「にがり」「グルタミン酸ナトリウム」などを添加する
5.製造方法についての表示
上記のように、食用塩は、その製造方法と原料塩にいろいろなタイプが見られます。そこで、どのような製法によって製造したのかを明りょうに分かるようにするため、公正競争規約では製法表記を新たに行うこととしました。
今後は、
この製法表記欄を見れば、食用塩の特徴が分かるようになります。
○製法表記の概要は、以下のとおりです。
(1)
製法表記として記載すべき事項は、「原材料名」と「工程」の2項目
(2)
原材料名及び製造工程は、それぞれ、定められた用語によって表示(事業者の勝手な判断で記載しない)
(3)
一括表示欄とは別に記載し、表示部分を枠囲いにするなど、消費者が見落とすことのないよう明りょうに表示
○製法表記の具体的な表示例は、以下のとおりです。
<表示例>
前項の(1)1の場合
原材料名:
海水
工 程:
イオン膜、立釜、乾燥
前項の(3)の場合
原材料名:
天日塩(95%・メキシコ)、海水(5%・日本)
工 程:
溶解、平釜
※天日塩の後ろのカッコには、原材料としての塩の使用割合やその原産国名等が記載されます。
この商品の場合、原材料の95%がメキシコから輸入した天日塩で、5%が日本の海水由来の塩ということになります。
6.規約の主な内容
(1)規約の対象
塩化ナトリウムの含有量が40%以上の塩であって、不特定多数の一般消費者向けに、食用として販売されるもの。(ただし、食品、香辛料などを添加した塩は対象外)
(2)必要表示事項
○
加工食品品質表示基準に従い、名称、原材料名、内容量、製造者名等を正しく伝えること。
原材料名は海水、海塩(天日塩)、岩塩、湖塩の4名称に統一する。
○
一括表示の
枠外に製法を記載する。
(前記4参照)
○
塩化ナトリウム以外の塩類が25%以上の場合は、低ナトリウム塩であること及び栄養成分量を表記する。
(3)特定事項、特定用語
○
地域名のついた商品名と原料原産地等が異なる場合は、その旨を記載する。
○
「にがり」含有の表記は、マグネシウムの含有量が0.1%以上の場合に表示できる。
○
海洋深層水使用を表記する場合は採水地と使用割合を併記する。品質等が優れていることを表示するには合理的根拠が必要。
○
「天日塩」「焼き塩」「藻塩」「フレーク塩」について表示する場合の基準を定める。
○
「特級」「特選」はその事業者に比較する同種の商品があり、特に優れている旨を証明できる場合にのみ使用できる。
○
「自然」「天然」は塩を修飾しない表現に限り使用できる。
「天然塩」「自然塩」及びこれに類する用語の使用は禁止とする。
(4)不当表示
○
規約の定義に合致しない表示
○
根拠のない最上級表示
○
原材料原産地が誤認されるおそれのある表示
○
製造方法、成分、原材料等の事実と異なる表示
○
特定の栄養成分が補給される表記、ミネラル豊富を意味する表示
○
合理的根拠のない太古、古代等の歴史性の表示
○
他の事業者を中傷、誹謗する表示
○
健康、美容の効果があると誤認される表示
○
品質、取引条件が他社の商品よりも優良であると誤認される表示
(5)会員証紙
会員は適正な表示をしている食用塩について
会員証紙を表示できる。
(6)食用塩公正取引協議会の事業
(1)
この規約の内容の周知徹底に関すること。
(2)
この規約についての相談及び指導に関すること。
(3)
この規約の遵守状況の調査に関すること。
(4)
この規約の規定に違反する疑いがある事実の調査に関すること。
(5)
この規約の規定に違反する構成事業者に対する措置に関すること。
(6)
一般消費者からの苦情処理に関すること。
(7)
不当景品類及び不当表示防止法その他公正取引に関する法令の普及及び違反の防止に関すること。
(8)
関係官庁との連絡に関すること。
(9)
構成事業者に対する情報提供に関すること。
(10)
その他この規約の施行に関すること。