6.組成とその特徴 6.1 水分 かさ密度、サラサラ性、など使い勝手に大きく影響する。乾燥塩は通常 0.2%以下の水分となっている。遠心分離機を出てそのままの塩は通常1〜2%の水分があるが、大粒では1%以下となる場合もある。平釜で使われる簀の子(居出場)による自然脱水では5〜15%の水分となるが、天日塩田などの大粒で乾燥地で山積みで自然脱水する場合は2〜3%まで低下させることができる。 湿塩の製品純分と水分の関係は一般的には図1に示したように基本的には水分比例になる。この平均線は苦汁含有塩で遠心分離機で脱水した場合に相当する。自然脱水で水分の多い場合、天日塩の溶解再結晶の塩、微粒で脱水できない場合、などは線より上方にずれる。脱水を十分に行ったり、粒径が大きく水分が切れやすい場合、乾燥したり、多量の添加物などNaCl以外のものが入ると線より下にずれる。 なお微粒の場合は乾燥しないと固結しやすく、通常湿った状態では出荷されない。なお塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの結晶水の大部分は通常の乾燥減量(140℃加熱法)では一部しか定量されない。 また水分は保存中に吸湿したり乾燥したりして変動するから、製品中の水分値は絶対的なものではない。ポリエチレンなどで包装しても変動する。 6.2 不溶解分 製塩過程ではいる泥、砂、などの異物と、人為的に加えた不溶性添加物がある。人為的に加えた添加物は表示しなくてはならない。添加物がないのに不溶解分がある塩は主に天日塩、岩塩で、特に管理の悪い天日塩、夾雑物の多い岩塩などで、何が入っているかわからないから、不溶解分のある塩は直接食用とする塩としては、安全性について要注意である。分析値は0.0n%まで表示されるが、0.01%以上の塩はかなり汚れていると考えた方がよい。国内で膜濃縮で作られた塩はでは、不溶解分は0.000%で溶解濾過したとき着色不純物などはいっさい認められないが、輸入塩の場合は必ずといってよいほど着色不純物がある。天日塩や天日塩苦汁では特に着色が大きい。 6.3 塩類組成 NaCl:塩の純度は、塩の分類基準、価格指標の基本になってきた。生活用塩規格では、精製塩99.5%以上、食塩99%以上、並塩95%以上となっている。純度99%以上の塩は、通常乾燥塩である。 KCl:少量のカリウムは料理の味を引き立てる。多量のカリウムは高血圧対策としての減塩効果を期待できる。というのが従来のカリウムリッチの塩のうたい文句となっている。減塩効果は前述のように実質的には意味のないものといってよい。塩化カリウムが20〜30%以上になるとピリ辛味が強くなり味が極度に悪くなる。しばしば味の悪さを緩和するためにマグネシウム塩、有機酸塩などが添加される。また膜法の国内塩はやや塩化カリウムが多く約0.3%、天日塩ではオーストラリア、メキシコなどで0.05%、 開発途上国では0.1%程度になっている。味に主眼をおいたカリウムリッチの塩では、 塩化カリウムとして、瀬戸のほんじおで9%、減塩主体のライトソルトなどで50%、中 間型の低納塩、パンソルト、良塩などで15〜25%になっている。 CaSO4:石膏またはスケールという。製塩の過程で出てくる。昔の塩は多量の石膏が入っていた。塩田時代、明治末で2%、昭和初期で0.8%の水準だったが、現在は石膏の分離技術が進歩して通常0.2%以下になっている。しかし管理の悪い塩田の天日塩や海水を直接濃縮している各地の小規模製塩などでは1.5%程度残っている。石膏が特に多かったり、変動する塩は管理の悪さの象徴的な意味もあり、注意した方がよいだろう。