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にがり にがり
再度「にがり」に
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にがり規格に関する
最近の情報と解説


「にがり」の規格の
審議が進んでいます


粗製海水塩化マグネ
シウムの規格基準の
制定について(解説)


塩のにがり成分(2)

苦汁の話

塩のにがり成分(1)
塩のにがり成分(2)

 「にがり」が多いか少ないかは業界では大変議論になるし、宣伝も激しいので一般消費者はついその気になってしまう。「にがり」が多いのがよい塩、味がよい、健康によい、などの「にがり」推進派。「にがり」で料理の味は変わらない、「にがり」の多い塩を食べ続けると健康を害する、などの「にがり」反対派。が入り乱れている。これには歴史的に利害関係や多くの誤解からそれぞれ理屈抜き、事実抜きの主張があって消費者を混乱させている。

 基本的な話として、「にがり」は塩を作った後の苦い粘っこい液です。マグネシウムやカリウムが主な成分です。豆腐作りに使う「にがり」は塩化マグネシウムを「にがり」といってもよいという特例を認めていますから昔からの「にがり」ではありません。「にがり」は塩の結晶の内部に入らず、結晶の表面に薄くくっついています。

 「にがり」はそのままでは大変苦いものです。海水から塩を作った時、塩の表面に残っています。「にがり」が多い方がよいと考えている人は、塩の表面に残ったにがり分をたくさん残して商品にします。見かけは湿っている感じになります。「にがり」による味の差は微妙で淡いものですから、素材が淡白なものでは「にがり」による味の差がわかりやすくなりますが、料理に塩以外の味が入ればわからなくなります。塩表面にごく薄く湿った形で付いているだけですから、攪拌したり溶かしたりすれば「にがり」の味は分散してしまいますます淡いものになって分からなくなります。すなわち、素材が淡白で他に味がなく、使い方もかき混ぜたりしないでそっと添える形ならば生きてきますが、通常の料理ではほとんど効果がわかりません。「にがり」が多いと味にはよくないと考える人は、塩に入る「にがり」の量を抑えるように作ります。味として程よい「にがり」の量は各会社で主張が違います。

 健康上の効果は主としてマグネシウムによる効果が主張されています。マグネシウムの必要摂取量は成人男子1日300mgとされており、人体に必須の無機物質として重要な栄養素とされています。マグネシウムは日本人にやや不足気味という報告もあったのですが最近は通常の食事をしていれば不足はないとする報告が多いようです。塩は家庭用で使う量が少ないので、塩から摂取する量はほとんど問題にならないでしょう。塩でもっともにがり分が多い塩で3%含有しています。通常は多くても1%以下です。塩の摂取量1日10gその中で家庭用の塩から取る量を1g程度とすればマグネシウムは10mgにしかなりません。通常他の食材から取るマグネシウム量の方が圧倒的に多いのです。それでも、塩は毎日使うから重要と考えるべきかもしれません。意見が分かれるところです。

 なお、にがり分が多い塩は湿った感じの塩になるため、調理上は使いにくい塩になります。振り塩などでは使う前に空炒りして水分を飛ばすなど手間のかかる操作を必要とする点で、どうしても使用は制限されます。価格もにがりが多い塩の方が高くなる傾向があります。「にがり」が多い塩その特性をよく考えて使わないと特徴は死んでしまう。あまり大きな期待をもってはダメ。料理のプロにとっては研究して使ってみる価値がある塩、簡便な使い方をするには使いにくい塩であることを承知しておくことが大切。

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