トップページへ 塩の情報室 目次
 
塩の種類と特徴
製法と原料による塩の分類

「あらしお」の話
(2010記載)


「フレーク塩」の話
(2010記載)


「焼塩」の話
(2010記載)


「藻塩」の話

「自然塩」の話
(2010記載)


「ミネラル塩」の話
(2010記載)


「化学塩」の話
(2010記載)


市販の塩の種類

「あらしお」の話
(旧原稿)


自然塩の話
(旧原稿)


岩塩の話

天日塩の話

生活用塩とは

深層海水塩

塩の添加物
塩の添加物
1)フェロシアン塩

 フェロシアン化物は黄血塩、YPSともいいます。分子式はK4Fe(CN)6あるいはNa4Fe(CN)6で、塩の固結防止効果がある。FAO(アメリカ食品保健局)の提案でWHO(世界保健機構)は1940年代に食塩に10ppmの添加を認めた。日本では慢性毒性、発がん性、遺伝への影響に関するデータがないことから、食品添加物として認められていなかったが、平成14年8月1日急遽食品添加物として承認された。限度量は世界の最高値である20ppmされている。

 食品として食べる量は10g/日として、10mg/kg人体への摂取量は0.1mg/日となり、全量が分解してシアンになっても、シアンの急性毒性のレベルからすると問題がないほど少ないものです。過去フェロシアンを塩に添加して障害があったという報告はありません。しかし、慢性毒性、発がん性、遺伝への影響、という添加物として必要とされるデータは医学文献検索では全く見出せません。
アメリカでは食用塩へのフェロシアンの使用が減少して10%程度といわれています。2001年総合的環境応答・補償責任法(Comprehensive Environmental Response, Compensation and Liability Act)によりフェロシアンは危険物質との決定をしました。しかしこの決定にはSI(アメリカ塩生産者協会)の反対でその後取り消されています。消費者団体もフェロシアン添加に反対しており評判は悪くなるばかりです。商品イメージとしても悪いので徐々に減っているのでしょう。

 ヨーロッパでは私が製塩工場で聞く範囲では上級塩種にはフェロシアンは使わないと聞いています。しかし、実際にはテーブルソルトでフェロシアン添加塩があったりします。ヨーロッパではアメリカのような強いフェロシアン添加反対の動きはないようですが、気分的にはよくないのかもしれません。

 中国では乾燥塩には原則としてフェロシアン添加が行なわれていると考えてよいでしょう。平均的添加量が2〜7ppmですが、混合状態が悪く大きくバラツキます。
今後、外国からの塩にはフェロシアン塩が添加されているケースが出てくると考えられます。
日本ではフェロシアンを添加物として使用した例がなく、食塩に是非必要な要素ではありません。日本の製塩会社大手6社は、フェロシアンは使わないという宣言をして、平成14年7月27日(日経、産経)8月7日(朝日)に意見広告を出しています。

[参考]
1) フェロシアン塩は酸性で加熱するとシアンに分解します。
2) 酸性で鉄塩があると青く変色します。中国で加工したラッキョウが青くなったという話を聞きました。
3) 道路の融雪用などで大量に使用した場合の環境影響についてはデータがなく分かりません。
4) 検査方法は硫酸第一鉄溶液を加えたときに生成するプルシアンブルーの青色を吸光光度法で定量する。標準法は塩試験方法(2002.1財団法人塩事業センター\2,000)に定められている。適用範囲は1〜10mg/kgである。定性試験としては0.1mg/kgまでは確認できる。委託できる分析機関は確認してないが、塩事業センター海水総合研究所、食品分析センターなどでできる。
5) フェロシアンは、化学会の正式名称がヘキサシアノ鉄(II)、化学式は[Fe(CN)6]4−、古くはカリウム塩を黄血塩といった。英語名はhexacyanoferrate, ferrocyanide, カリウム塩はyellow prussiate, 略してYPSという。外国ではYPSという場合が多い。

2)アルミノケイ酸塩
 外国でしばしば固結防止剤として使われており、日本で認められていないものでは、この他アルミノケイ酸塩がある。歯磨き用の研磨剤などに使われ、化学構造上は白粘土の一種と考えてよい。外国では比較的高級塩種に使われている。障害例などは詳細に調べていないが、胃腸障害の恐れがあるとされている。

3)ヨード
 世界ではヨード不足による甲状腺障害を起こしている地域が多い。
特に開発途上国や、内陸部で多い。そのため塩にヨード添加を義務付けている地域もある。塩は生活レベルなどに関係なく人間はほぼ同一量を摂取するから有効な方法であり、甲状腺障害の防止に大きな効果を収めてきた。しかし日本ではヨード添加は行われていない。
日本人は世界的には珍しい海藻をたくさん食べる民族であり、昆布、ワカメ、ひじきなど海藻はヨードの宝庫なので、ヨード不足による甲状腺障害の例はほとんどない。日本食はなかなかいいものだ。

[追記]
日本人のヨード摂取量は1740mg/日、他の国で多くは200mg以下であり、50mg以下の国では甲状腺障害が多発している。日本は北海道の昆布産地などでヨード過剰摂取による甲状腺腫の多発が見られる。(鈴木、和田:ミネラル・微量元素の栄養学、第一出版1994)
back next
up