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塩のコストは規模で決まる
高価な塩がよい塩ということではありません。小売マージン、宣伝費などを除いた塩のコストは、製造原価+包装費+輸送費になる。この塩コストは基本的に規模で決まる。規模を大別すると国内生産では20万トン規模の製塩工場で作られる塩事業センターの食塩(小売108円/kg)と1万トン規模の天塩、伯方の塩、瀬戸のほんじおなど(小売約300円/kg)と100トン以下の規模の各種の塩(小売1000円/kg以上)の3段階がある。規模が小さくなると製造原価と輸送費は大きく違ってくる。輸入品についても10万トン規模での塩専用バラ積み船での輸入(ソーダ工業用や業務用の天日塩)と珍しい塩として輸入される数トン規模のコンテナ輸送では1桁違う値段になる。これは品質差ではなく単に規模が違うだけである。特に製造の場合は大規模な工場ほど品質管理や安全性の管理が行き届いている。なお、塩の包装は価格に大きく影響する。小さい容器に入れた塩、食卓用の振り出しタイプの塩では価格は高くなる。
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売場の棚の隅にある塩が消費者にはお買い得のよい塩である
塩の小売価格は(1)小売マージン(2)流通経費(3)包装費(4)製造原価の順に大きいのが一般的である。このほかに販売費(広告料や営業人件費)が大きいがこれは会社の戦略で大きく変わる。小売店で目立つところに置いてもらうためには小売マージンを大きくしなければならない。品質がよくて売りたい塩ではなくお店の儲けが大きい塩が目立つ場所を占領する。塩事業センターのkg単価100円の塩は儲けが少ないから土地代が高い都心のデパートでは置かない場合が多い。300円クラスも通常のスーパーで売り場の隅にあることが多い。単価1000円以上の高価な塩や容器にこった塩がマージンも大きいから棚の目立つところにある。高価な塩は店にとってはありがたい塩だが消費者にとっては必ずしもよい塩というわけではない。
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やすい塩は品質がよい
国内製塩の塩のコストは大規模製塩ほどコストは格段に安くなる。単価が安いから通常小売マージンも少なく、販売価格も安い。しかし通常家庭の主婦が商品を選ぶときやすい塩を買うと悪い塩ではないか、料理に失敗したときやはりやすい塩を使ったからだという後悔はしたくない。せめて中間くらいの塩を選ぼうとか、塩は使う量も少ないのだから高い塩でも家計には響かないから高くてもイメージがよい塩にしようという心理が働く。しかしイメージは宣伝によって作られるもので、それが客観的によい塩ということではない。塩は極端に言えば海水を煮詰めればできる。小学生の体験実習でもできる。小規模塩業は最近始められた方が多く、脱サラとか企業多角化などで資本が無くてもできる仕事として始められた方が多く、ほとんど素人がやっている場合もある。規模の大きな塩業会社は長い歴史を持つ玄人集団である。品質管理も安全管理も玄人がやっており、品質の上でもレベルが高い。輸入塩については輸入規模に支配されるもので、現地の管理状況などが価格に反映されないからやすい塩ほど品質がよいという傾向ではない。
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宣伝が凄い塩には注意が必要
塩はたくさんの商品があるが、商品ごとの差は非常に小さい。電気製品でも自動車でも10倍の価格差があれば見た目でも機能でも全然違う。しかし塩はここまで価格差があるのにほとんど差がない。特定の塩が特定の料理に合うということはあるから、料理人や家庭でも特に調理にこっている人にとっては価値がある。塩の特徴が生かせるような料理人はそれなりの技術や様々な塩について特徴を理解してなければ、ただの思いこみに過ぎないものになる。通常の家庭で必要な塩は何にでも使える塩でなければならない。kg単価500円以下の塩は広く使っていただくことを目標にしており何にでも使える。国内の塩はすべて海水を原料として煮詰めて作っており、塩化ナトリウムを主成分とするもので、若干の特徴はそれぞれあるけれど、基本的に大きな違いが出るものではない。特別な添加物がない限り健康によいとか、味が大変違うという塩はできない。過大な宣伝は消費者へのダマシが見え隠れする。また有名な料理人を使ってあたかもこの塩を使えば美味しい料理ができるような宣伝もイメージ形成戦略に乗せられて信用するのは考え物だ。美しい海がプリントされているから安全で美味しい塩というわけでもない。そこで買えるのは生活の夢である。生活の夢は大切だがそれが現実とは違うということは認識しておいてもらいたい。宣伝に惑わされない消費者の智恵が求められる。
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使いやすさで選ぶのが利口
私がお勧めするのは、使い勝手の良い塩を選ぶことである。一般的に乾燥したサラサラの塩が使いやすい。容器の選び方も大切。台所で塩容器に移して使うのであればポリ袋包装、袋のままで台所におくときは振り出し型かスタンドパック(立てておける袋)、ほとんど料理をしない人や食卓で主に使うには振り出し型の容器、お漬物など大量に使う人は5kg袋、というような選び方がいい。料理に凝って様々な塩を使い分けてみたい方は、塩の特性が大きく違う塩を選ぶ方がよい。塩の特性の違う塩として、溶けやすさが違うこと、粒の大きさが違うこと、が大きな目安になる。表示にあるにがりの量は大きく違わなければ差が出にくい。
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